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コラム

海上運賃の構成要素とは|近年の海上運賃の動向・推移も解説

海上運賃の構成要素とは|近年の海上運賃の動向・推移も解説
INDEX 目次

海上運賃はどのように決まるのか、詳しく知りたいという人はいるのではないでしょうか。海上運賃はさまざまな要因により左右されるため、常に一定ではありません。

この記事では、近年の海上運賃がどのような推移をみせているのか、海上運賃の基準や構成要素などについて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

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海上運賃とは

海上運賃とは、船(海上)で輸送する際に発生する費用のことです。海上運賃は常に同じではなく、さまざまな要素によって変動します。そのため、海上運賃が高くなることもあれば低くなることもあります。

海上運送は運べる物量や輸送コストの優位性という観点から、国際輸送のなかでも主流とされる運送方法です。

近年の海上運賃における動向・推移

近年の海上運賃はどのような推移を辿っているのでしょうか。ここでは、近年の海上運賃の動向や推移を詳しく解説します。

2020年夏以降に海上運賃が高騰

海上運賃は2020年夏以降に、わずか2年で6倍以上になりました。海上運賃が高騰した理由としては、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響などが考えられます。

感染症の流行によって、港湾封鎖や混雑が起こっただけでなく、人手不足やコンテナ不足、船舶燃料費の高騰などが起こったため、海上運賃もその煽りを受けて高騰したようです。

また、遅延の拡大などによって世界的なコンテナ不足や慢性的な貨物スペースの不足なども、海上運賃高騰に追い打ちをかけました。

2022年後半に海上運賃が下落

高騰していた海上運賃は、2022年後半には落ち着いてきて下落傾向に転じました。過剰在庫によるブッキングの減少や米国向け年末商戦向け貨物の前倒し、個人消費の減速による荷動きの減少などが要因だとされています。

コンテナ輸入量はコロナ渦以前の水準には届かず減便対応が必要になるなど、需要が鈍化したことで海上運賃も下落したようです。

2024年1月以降に海上運賃が高騰

下落傾向にあった海上運賃ですが、2024年1月以降は高騰しはじめました。高騰の理由としては、2023年12月にデンマークの海運大手の船舶が紅海にて攻撃を受けたことが挙げられます。これにより、多くの海運企業は紅海の通行を停止しており、海上運賃高騰へとつながっています。

海上運賃の2つの基準

海上運賃には基準があります。ここでは、自由運賃と表定運賃の2つの基準について詳しく解説します。

自由運賃とは

自由運賃とは、その名のとおり自由競争によって決められる海上運賃です。海運企業と依頼主との間で自由に運賃を設定できるという特徴があります。そのため、需要と供給によって海上運賃は変わります。

このように、交際社会のニーズや経済の状況、需要と供給などに応じて運賃が変わるため価格は一定ではありません。

表定運賃とは

表定運賃とは、「タリフ(Tariff)」とも呼ばれる海上運賃です。表定運賃の大きな特徴は、公的な運賃決定者(国土交通大臣など)により認可されて決定される点です。ただし、自由競争の進展によって、割増調整料金を含めて実態としては船社運用に任されています。

参考:https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010144.html 

海上運賃の構成要素

ここでは、表定運賃(タリフ)の構成要素を解説します。

海上運賃

基本運賃
(ベースレート)

品目別運賃

品目無差別運賃

割増運賃
(サーチャージ)

燃料油割増

為替変動割増

船混割増

その他

以下で、それぞれについて詳しく解説します。

基本運賃(ベースレート)とは

基本運賃(ベースレート)とは、「品目別運賃」と「品目無差別運賃」の2つで構成されています。ここでは、各運賃について解説します。

品目別運賃

品目別運賃とは、貨物の品目によって設定されるものです。さまざまな要素によって決定されることが特徴で、たとえば貨物の種類や形状、価格、包装などの要素が関わってきます。品目別運賃を決定する方法は、以下の3つが挙げられます。

  • 容積建て
  • 重量建て
  • 従価建て

容積建てとは、容積を参照して運賃を設定するものです。容積建てを基準として運賃を設定する貨物は多く、よく使われている算出方法です。

重量建てとは、貨物の重さによって運賃を算出する方法です。容積自体は少なくても重量があるという場合には、重量建てが適用されます。

従価建てとは、貨物の価格の一定割合で運賃を算出する方法です。たとえば貴金属などの貨物に適用されるのが一般的です。

品目無差別運賃

品目無差別運賃とは、品目や容積、価格などに左右されない方法で、コンテナあたりで決められる運賃です。コンテナ1個あたりで設定される「ボックスレート」が品目無差別運賃に当たります。

割増運賃(サーチャージ)とは

割増運賃とは、サーチャージとも呼ばれているものです。割増運賃は多岐にわたるため、以下の項目で詳しく解説します。

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海上運賃における割増運賃(サーチャージ)の主な種類

割増運賃(サーチャージ)の種類は多岐にわたります。ここでは、割増運賃の主な種類を解説します。

BAF (Bunker Adjustment Factor)燃料費調整係数

BAFとは、船舶燃料価格に影響される割増料金です。燃料の価格が上がればBAFも上がり、燃料の価格が下がればBAFも下がるというように、燃料価格の変動に応じて調整されます。

BAFはトン、もしくはコンテナあたりで価格が決められるのが特徴です。BAFは航路によってBS(Bunker Surcharge)やFAF(Fuel Adjustment Factor)といった異なる名称で呼ばれることがあります。

しかし、燃料の価格変動と連動して決まるということ自体は変わりません。

CAF (Currency Adjustment Factor)通貨変動調整係数

CAFは通貨変動に影響される割増料金です。為替レートの変動に応じて調整されるもので、為替レートが上がればCAFも上がり、為替レートが下がればCAFも下がるという仕組みです。

一般的には、基本料金に対する割合で価格が決定されます。また、CSと呼ばれることもあります。

PCS (Port Congestion Surcharge)船混み割増料金

PCSは、特定港の船が荷役中の船で混雑してしまい、港湾への停泊が長引いた場合に適用される割増運賃です。

また、クリスマスなどシーズンによる貨物繁忙期に適用される割増料金である、PSS(Peak Season Surcharge)ピーク・シーズン割増料金と同義で扱われることもあります。

THC(Terminal Handling Charge)コンテナヤードの利用料金

THCとは、港のターミナル内で発生するコンテナの取り扱い費用です。CHC(Container Handling Charge)も同様に、コンテナ取り扱い費用のことです。アライバルノーティス発行時に業者がどちらかを適用します。

地域独自のチャージ

割増運賃以外にも、輸出地や航路によって独自のチャージが発生するケースがあります。ここでは、地域独自のチャージについて解説します。

北米のチャージ

北米独自のチャージとしては、以下が挙げられます。

  • PSS:夏季限定の割増運賃で、北米向け輸送の海上運賃にかかる割増運賃
  • AMS:北米やEU向けの船積みに適用されるもので、24時間ルール対応の手続きのために発生する

運河通行料金

運河を通行する際に通行料金が発生するケースもあります。運が通行料金は以下のとおりです。

  • STF:スエズ運河通過時に発生する
  • PCS:パナマ運河通行時に発生する

まとめ

海上運賃はさまざまな要素によって設定されます。自由運賃は市場の自由競争によって運賃が変動しますが、表定運賃は貨物の品目や割増運賃など多くの要素に左右されて変動します。海上運賃の構成要素を理解したうえで、海運企業を選びましょう。

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