コンテナ輸送の仕組みとは?種類や輸送方法、メリットやデメリットなども解説
コンテナ輸送は、20世紀最大の発明の1つとされ、国際物流においては革命的な発展をもたらしたシステムです。コンテナ輸送には、多くのメリットと効率的な運用方法があります。
本記事では、コンテナ輸送の仕組やコンテナの種類、コンテナ輸送のメリットなど、コンテナ輸送の基本的な知識を幅広く解説しています。商品の輸出入を検討、あるいは関わりのある企業の皆様は、ぜひ参考にしてください。
コンテナ輸送の仕組みとは
コンテナは、貿易貨物を海上輸送する際に主力となる手段です。使用されるコンテナはISO規格に基づいており、標準サイズとして幅8フィート、高さ8フィート6インチ、長さは20フィートと40フィートの2種類があります。
コンテナの種類は貨物の種類や性質に応じてさまざまです。一般的なドライコンテナのほかに、温度調節機能が搭載されて冷凍・冷蔵品をあつかうリーファーコンテナ、液体や化学薬品などの貨物輸送に特化したタンクコンテナなどがあります。
貿易の際は、国際貨物がコンテナ船あるいは在来船で輸送されるかで必要な手続きや提出書類が変わるだけでなく、国際貨物の量がコンテナを満たすかどうかによって、書類の提出先が異なります。
コンテナ輸送とは
コンテナ輸送とは、国際標準化機構(ISO)の規格に基づいて統一されたサイズと形状を持つコンテナを使用して、貨物を輸送するシステムです。1956年からアメリカで本格的に利用がスタートしました。
コンテナ輸送により貨物の取り扱いが規格化されたことで、荷物の積み下ろしや荷下ろしにかかる人手や時間が削減され、輸送中の積み替えが容易になります。
コンテナは、さまざまな種類の商品を効率的、安定的、かつ安全に運ぶことができるため、国際貿易における物流の効率化に大きく貢献しています。
海上輸送におけるコンテナの種類
貨物の海上輸送に使用されるコンテナにはいろいろな週類があります。コンテナの主な種類とそれぞれの特徴を解説します。
ドライコンテナ
ドライコンテナは世界中で広く利用されている一般的なコンテナとして、国際貿易の基本となる輸送容器です。本体は強度のある鉄製で細長い直方体の形状をしており、全長20フィートと40フィートの2種類の国際規格が存在します。海上輸送の主流となっているのは、40フィートのうち、ハイキューブコンテナと呼ばれるタイプです。
ドライコンテナには特別な機能や装備は備わっていません。常温で輸送可能な貨物に使用され、一般的な生活用品や日用品、雑貨、工業製品などの輸送に適しています。
リーファーコンテナ
リーファーコンテナは冷蔵や冷凍機能を備えたコンテナです。マイナス30度からプラスの温度まで0.1度単位で設定可能なコンテナもあります。
リーファ―コンテナは、食品、特に生鮮品や冷凍食品の輸送に適していますが、精密機械や医薬品、生花、美術品など、温度管理が必要な非食品アイテムの輸送にも使用されます。
定温管理が必要なため、定期的なメンテナンスが求められ、管理や運用には専門のレンタル業者を利用することが一般的です。
タンクコンテナ
タンクコンテナは、気体や液体などを収納できるタンクを備え、一般的なコンテナサイズに合わせた鋼鉄製のフレームで設計されたコンテナを指します。
タンクコンテナは化学薬品や原酒などの液体や、ガスなどの輸送に適しています。貨物の特性の違いにより「危険物用」と「非危険物用」の2つに大別され、危険物を輸送する際は80%から95%以内の充填率をキープする規定が設けられています。
生鮮食品の鮮度が保てるよう設計されているタイプや、屋根が開くタイプなどもあります。
コンテナを輸送する船
コンテナを輸送する船には、主に2つのタイプがあります。それぞれの特徴を簡単に見ていきましょう。
在来船
在来線(Conventional Vessel)とは、一般貨物船のことです。在来船はコンテナ以外にもさまざまに形状・種類の異なる貨物を運び、コンテナよりも大きな貨物を輸送する場合もあります。船自体にクレーンが備えられており、はしけや岸壁などから直接貨物を積み上げることが可能です。
在来船は、荷役作業に人手を要する上に貨物の積み込みも天気に左右されるため、予定どおりには運航しない可能性もある点がデメリットです。
コンテナ船
コンテナ船(Container Vessel)はその名のとおり、コンテナ貨物専用の船です。世界各地のハブ港を結ぶ大型船と、ハブ港と地方港湾を結ぶ小型船の2つに大別されます。
コンテナ船への貨物の積み込みは、陸上に設置されたガントリー・クレーンによって行われます。
コンテナ船は決まった運航スケジュールで定期航路を行き来するため、効率的な貨物の取り扱いが可能で、輸送プロセスが標準化されている点がメリットです。
コンテナで輸送する方法
コンテナ容器を利用した輸送には「コンテナ輸送」と「混載輸送」の2つの方法があります。それぞれの概要と特徴を簡単に見ていきましょう。
コンテナ輸送(FCL)
コンテナ輸送は英語ではFull Container Load、略してFCLです。一人の荷主がコンテナ一つを独占して利用する輸送方法を指します。コンテナ輸送では、自社の倉庫などでコンテナに荷物を積んだ後、コンテナヤードに移送し、通関手続きを行います。
コンテナ輸送のメリットは、他者の荷物と混載されないため荷物へのダメージが少なく、中身の確認もしやすいため積み下ろしの時間が短縮され、輸送スピードが速い点です。荷物へのダメージを最小限に抑えつつ、速やかな輸送を希望する荷主向けの輸送方法です。
混載輸送(LCL)
混載輸送とはその名のとおり、複数の荷主でコンテナを共有する輸送方法のことです。英語ではLess than Container Load、略してLCLといい、一人の荷主の荷物のみではコンテナに空きが出るため、他の荷主と共有します。
混載輸送のメリットは、必要なスペースのみの利用料金での輸送が可能なため、輸送コストを抑えられる点です。ただ、あくまで混載なので、輸送中に荷物へ多少のダメージが発生するリスクは覚悟する必要があります。
コストを重視し、必要な容量だけを利用したい荷主向けの方法です。
コンテナ輸送のメリット
コンテナ輸送を利用すれば、さまざまなメリットが得られます。3つのポイントに分けて各メリットの概要を解説します。
サイズが国際的に統一されている
コンテナが「海上輸送における技術革新」とされる理由は、20フィートと40フィートの国際規格に基づいて統一されたサイズで製造されているためです。
サイズが統一されていることで、荷役作業が効率化されます。目的の港に到着後、船からの荷下ろしやトラックへの積み込みが迅速に行えるのは、人手の削減や時間の短縮にもつながる点で大きなメリットです。
貨物へのダメージを軽減できる
海上輸送は天候に大きく左右されます。その点、コンテナは鋼鉄やアルミなどの頑丈な素材で作られているため、大波などの自然条件から貨物を保護し、ダメージを最小限に抑えることが可能です。
また、コンテナは雨に濡れても荷役作業が可能なため、悪天候下でも輸送の遅延を最小限に抑えることが可能な点も見逃せません。
コンテナの種類が豊富で選びやすい
コンテナには長さと高さによるサイズの違い以外にも、さまざまな機能が搭載されたタイプがあり、輸送したい物品によって使い分けが可能です。
たとえば冷蔵・冷凍品の輸送に特化したリーファーコンテナにしても、冷凍機や冷・暖房機に加えて、青果物の腐敗を防ぐための換気機能、温度の変化に敏感な物品に必要な温度制御機能など、荷物の種類に応じてさまざまな機能が搭載されています。
コンテナ輸送のデメリット
海上輸送において、湿気は貨物にとって大きなデメリットとなり得ますが、コンテナも例外ではありません。高温多湿の環境下での荷詰め時には特に湿気がコンテナ内にこもりやすくなります。除湿シートを床に敷いたり、布団類を内部に入れたりして湿気を適度に吸収するなどの防湿対策が欠かせません。
海上輸送には長い日数がかかるので、荷崩れによる荷物の破損も大きなリスクです。荷物の種類や重量によって、梱包方法や、コンテナに貨物を詰め込む際の重量調整やなどを、丁寧かつ慎重に行う必要があります。
まとめ
国際規格によりサイズが統一されているコンテナは荷役作業を効率化でき、また搭載されている機能の違いなどによりタイプも豊富なので、貨物の種類に合わせて使い分けられるのが魅力です。貨物の種類やコストに合わせてコンテナ輸送と混載輸送のいずれかの選択肢が利用できます。
国際貨物輸送に向けた物流業者選びでお悩みの際は、ぜひ三菱商事ロジスティクスにご相談ください。機械や化学品、消費財など多岐にわたる製品の取り扱いを通じて蓄積した高度な物流ノウハウを通じて、荷主様のニーズに最適な輸送方法をご提案させていただきます。
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